第10章 波乱の時
「ねえねえ、昨日テレビ見た!?」
昼休み。頼子達は当たり障りの無い話題で盛り上がっていた。
「え? なんかやってた?」
一人の女子が問う。
「バカ、見てないの? 最新曲歌ってたじゃん!」
頼子が挙げたのは、大人気の男性アイドルグループだ。
「ウソ、マジで!? 見逃した~」
その女子はグループの大ファンらしく、大げさな程に頭を抱えた。
「情報早いね~。さすが頼子」
「あ、この情報はね、優奈に教えてもらったんだ」
周りの視線が一気に優奈に集まる。
「なんで教えてくれないのぉ」
ファンの女子が優奈の足元に崩れた。
「あっ、そんなに?」
「そうだよ、言ったじゃん」
ファンの女子は、むぅと口を尖らせた。