第9章 体育祭 ーコスプレ大会ー
「私達はまた来年がありますけど……宮地先輩は最後ですもんね」
最後……その言葉が、胸に刺さった。
これから何をするにも付きまとう、「最後」と言う言葉。
「別に……たかが体育祭で感傷的になるんじゃねーよ」
「だって……」
優奈は、そこで言葉を区切った。
「宮地先輩と楽しめる体育祭が、最初で最後なんですから」
その言葉に、ぴたりと足を止めた。
来年、再来年の体育祭で優勝しても、そこに俺はいない。
優奈が感傷的になったのは、「俺がいなくなる事に対して」なんだ。
「……どうかしました?」
優奈の言葉で、はたと我に帰る。
「別に」
短く答えて、さっさと歩き出した。