第2章 姉と弟
あの後、私は真っ直ぐ家に・・・まぁ、家といっても転々としているホテル住まいだが帰る。
部屋の鍵をカードで開けベッドの上に今着ていたものをすべて脱ぎ適当に投げる。
そして、その足でバスルームに直行する。
その後いつもシャワーを浴びるのが私の日課だ。
「一ヶ月に一人喰べたらいい・・・か。」
そんなニュースで言っていた喰種専門家の話を思い出しながらシャワーを浴びる際に隣にある浴槽に目をやる。
そこには透明なお湯ではなく、真っ赤な血によって染まっていた。その血に浮かぶ人の部位。
そう、つまりは食料だ。
いつも最低限、一ヶ月に一回こうやって喰べるために持ってくる。生きている人そのものを呼び出しバラバラにするとホテルの人に怪しまれるので既に処理した人間をスーツケースに入れ浴槽に入れて食べやすい大きさにバラバラにする。
それから、喰べた後に全ての後始末をしホテルの部屋をチェックアウトする。
そして今日は喰べて明日チェックアウトする予定の日だった。
シャワーを浴び終わりまだ何も着ないままバスタオルで髪を拭きながら私は"パパ"に電話をする。
『もしもし』
「もしもし、夏菜か。何か報告することでも起きたかい?」
『うん、今日彼に会ったよ。金木研に。』
「そうか。じゃあ、これから彼の側にいてやってくれ。」
『うん。あとこれは相談なんだけど彼が飢えや他の喰種に殺られて死にそうになった場合、私はどうしたらいいの?』
「・・・そうだね、最低限守ってあげるくらいでいい。死んだら死んだでまた新たに用意したらいいからね。」
『分かった。じゃあパパ、おやすみなさい。』
「あぁ、おやすみ。」
一通り、今日やることを済ませ後は食事を摂るのみとなった。
一回シャワーを浴びたもののまた汚れそうだ。
そう思いながら、バスルームの浴槽へ向かい浮いている物を見つめながら
『いただきます』
と、手を合わせながら言い、浮いている部位を一つずつ選びながら喰べていった。