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ありふれた世界で【東京喰種】

第1章 一人の少女と医者








─・・・僕は小説の主人公でもなんでもない・・・

ごく平凡などこにでもいるただの読書好きな大学生だ・・・

だけど・・・

もし仮に僕を主役にひとつ作品を書くとすれば


それは きっと・・・





“悲劇”だ





一人の少年が、思いを寄せていた女が喰種であり襲われ鉄骨落下の事故に巻き込まれた。
重症だった少年は女の臓器を移植され喰種と人間の間になってしまったそんな時───・・・



その首謀者である男の医者が働いている病院でもあり、そして例の喰種にされてしまった少年の入院先の病院の屋上にいた。

夜ということもあり、空には星がいくつも散らばっている。

そして、その屋上に一人の少女が突然やってきた。
屋上にある唯一の扉からではなく・・・。

そんな少女が医者に近寄る。すると、急に少女に一枚の写真を医者が渡す。その写真に写っているのは一人の少年・・・その医者が手術をし、喰種になった者であった。

「これから、君は彼・・・金木研の姉になるんだよ。」

『・・・私が?』

「そうだよ。ずっと家族が欲しかっただろう。」

『うん・・・。パパの次は弟も?』

「またすぐにママもできるよ。」

『ママも・・・。』

「前のママはもういないからね。」

『そうだったね。私のせいで死んじゃった・・・、パパごめんなさい。』

そんな話をしながら少女は写真にうつる少年をずっと見る
見た目は童顔で高校生に見える。黒髪で怖い世の中を何も知らない無垢な黒い瞳・・・その風貌からいかにも文学少年といった顔だ。

「夏菜が謝る必要は無いよ。そうだ、まだ彼は弱いから弟の事を見守ってあげてくれないか?」

『見守る・・・?』

「そう、君はいつも通り仕事をして欲しい。
ただ、その時彼の様子をただ見守ってくれればそれでいいんだ。」

『・・・分かった。“パパ”の言う事はちゃんと守るから。』

「じゃあ、いつも通り期待しているよ。」

『うん。頑張る。』

その言葉を残し、少女は急に走り出し病院の屋上から飛び降りた。しかし、下を見るとあたり一面血まみれで死体が転がっているなんて状況はなく少女が何事もなかったかのように着地していた。

「前よりずいぶん赫子の使い方が上手くなってきたね・・・。」

一人たたずむ医者がそう独り言を呟き、ニヤリと微笑んだ───。






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