• テキストサイズ

お腹が鳴るころに(黒子紫原同級生夢)R15

第4章 ドキドキIH★


 くらくらしちゃうような暑さのなかはIHは始まった。
 もちろん紫原はレギュラーで、センターを担当する。
 会場にたどり着くと、皆で円陣を組んで気合を入れた。
「どうせ勝つし」
「まーそう言うなよ」
 紫原の言葉に福井先輩が返す。
「まあ、勝つけどな」
「でしょ~?」
「絶対勝つんじゃ」
「そうアルそうアル」
 盛り上げる部員の中、あたしはお菓子と飲み物を持っていた。試合中に紫原の空腹が起きないように、厳重に。
 監督は竹刀をもって、皆を後ろから見守る。
「これで負けたら、本気で怒る」
 キセキの高校とはかぶらない初戦だから、心配しなくても大丈夫だけど、油断は大敵だ。
「がんばってね、皆」
 あたしがそう言うと、皆が笑った。
「ご褒美忘れないでね?」
「……何がほしいの」
「ないしょ」
 かわいらしく首をかしげて、人差し指を口元にあてる紫原にはめまいがする。
「余裕じゃの」
「いちゃいちゃすんな」
「ラブラブで悪い~?」
「目の毒アル」
 思わず笑い出すあたしを見て、紫原が膨れる。
「何で笑うし」
「だって」
(これが、本当ならね……)
 偽物彼女じゃなかったら、うれしいんだけど。
 紫原ってば結構演技上手いよね。
 悲しいぐらいに、自然だよ……。

 そしてはじまったIHはーー圧倒的パワーで準決勝まで駆け上ることになる。
 事件は、準決勝前に起こった。 
/ 41ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp