第1章 新たな出会い
教室で笑いあう3人がとても楽しそうに見えた。
だから、僕もそこで話したいと思った。
それが、きっかけ。
「ねぇ、なんの話してるの?」
その一言に勇気のかけらもいらなかった。
女の子2人と男の子1人が話している間に、申し訳ないと思いつつも話しかけた。
「インティアっていうゲームの話だよ!」
「へぇ、面白そうだね。僕もやろうかな。」
黒髪の女の子が話の内容を教えてくれた。
隣には少し明るめの茶色の髪の女の子。
黒髪の子の前の席には、黒髪で眼鏡をかけた真面目そうな男の子。
「お、いいじゃん!教えてあげるからやろう!」
「ありがとう。僕は柊大和。よろしく。」
「私は持田聖美です。」
ありきたりな自己紹介。
黒髪の女の子は聖美さんというらしい。
茶髪の女の子は香奈さん、もう一人の男の子は雅留くんというらしい。
聖美さんがインストールからチュートリアル、
その他のことを教えてくれた。
結構、面白い。
けど、難しいなこれ。
「ね、これ面白いでしょう!?」
「うん、そうだね。」
無邪気な笑顔で笑いかけてくれる聖美さんに、
いちどトクンと胸が高鳴る。
その気持ちを僕はすぐに予感した。
あ、きっと僕はこの人のこと好きになるんだな、って。
なんか、わかってしまうことってあるよね。
同時に、わかりたくないこともわかってしまうんだ。
「雅留くん、私ここのクエストできないんだけど…。」
「ん?どれ?」
香奈さんと雅留くんが話す場面を、切なげに見ている聖美さん。
「聖美さんって、わかりやすい子なんだね」
「よくいわれます。けど、なにが??」
「ん?なんでもないよ!」
僕が返すと、ちらっと雅留を見てスマホに目をそらしていた。
あぁ、好きなんだな。
僕は、好きになっちゃだめだ。
そう、察したよ。
まだ間に合う。
だって、まだ好きになっていないから。