第7章 *さいしょの一歩。【菅原孝支】
「菅原って結構モテるよね。」
「は!?」
なんの変哲もない平日の昼。
いつも通り学校に来て、いつも通り授業を受けて、いつも通り他愛もない話をしながらお弁当を食べていた私の耳に飛び込んできたのは、友人が何気なく発した言葉だった。
「なんで!?」
箸を進めていた手を止め、向かい合っている友人に詰め寄る。
どうして今突然そんな話題を振ったのかも気になるけれど、一番知りたいのは情報の出どころだ。一体どこからそんな情報が。
「一年生の教室の前通った時、“男子バレー部の目元にホクロがある先輩”が爽やかで優しそうだよねーって盛り上がってるの聞いちゃって。」
「どうして一年生が菅原のことを…!」
「最近昼休みとかでよく一年生の練習付き合ってるらしいから、それを見てんじゃない?
こうも人気が出ちゃうと、綾乃もうかうかしてらんないね。」
私の心を見透かすようにニヤリと口角を上げる友人の言葉に思わず口を噤む。
そう。
何を隠そう私、谷口綾乃は
話題になっている彼、“男子バレー部の目元にホクロがある先輩”こと管原孝支に
恋をしているのだ。