第4章 *はじめてのキスは【岩泉一】
『―岩泉先輩のことが…すきです…!』
高校2年生になった、春。
私は生まれて初めて好きになった人に告白をした。
相手は同じバレー部で1つ年上の岩泉先輩。
―正直言うと、一目惚れだった。
告白した時からちょうど1年前。
なんとなく気になっていた男子バレー部の見学をしに体育館へ行った私は、当時まだ名前も知らなかった岩泉先輩に心を奪われた。
その次の日から私は正式に男子バレー部に入部し、先輩の名前を知った。
この頃はまだ、恋愛なんて自分には縁がないことだと思っていた。岩泉先輩を思う気持ちも、恋愛の"好き"ではなくて憧れや尊敬の意を込めての"好き"なんだ…と、そう思っていた。
でも、1日1日と日が経つに連れて、私の岩泉先輩への気持ちはただの憧れなんかじゃなくなっていった。
時が経つほど、"好き"の気持ちもどんどん膨らんでいった。
それが所謂恋愛の"好き"だということに気がついたのは、高校1年の夏の終わり。
岩泉先輩のことを思うと胸がきゅっとなって、ちょっとだけ切なくなる。
こんな気持ちは初めてだった。
私は生まれて初めて抱いたこの感情を、
大事に、大事に胸にしまった。
―――そして高校2年の春。
ついにその気持ちを打ち明けたのである。