第1章
「竜崎、ち、ちかい、です」
「分かっています」
抵抗しようとする右手首をやすやすと掴まれて、今度は左手。竜崎は細い身体に似合わず力が強い。そのままソファの肘掛に押さえつけられて、濡れた唇にキスをされる。
やっぱり、こういう事になるのね…自分でも呟いたのか、頭の中で鳴った声か、分からない。竜崎ならどちらか分かるかもしれない…竜崎。不思議と彼に対する嫌悪感は薄れていたが、なるべく威圧する声色で聞いた。彼の目は見られなかった。
「…こういう事をするために、飲ませたんですか?」
「いいえ、不可抗力ですよ。…夢子さんは気付いてないかもしれませんが、今の貴女、すごくセクシーです。さすがに私も我慢出来なくなってしまいました」
何かを取り繕おうとした唇をまたもや塞がれる。優しいキス。いえ、本当はずっとこうしたかったんです、竜崎が小さく呟いたのが聴こえた。今度は首筋に軽くキスを落とされる。
嫌!と声をあげたがそれは聞き入れられなかった。額から瞼、耳、シャツのボタンを2.3個外されて次は鎖骨。
竜崎は私のあちこちを、そこに存在することを確かめるようにキスでなぞる。
両手は既に自由になっているが、もう抵抗は出来なかった。