お姉ちゃん大好き(黒子紫原ショタ夢)ライバルは赤司様
第1章 お姉ちゃんと一緒
ざわつく道を抜け、神社にむかうあたし達。
「おね~ちゃんおててつなご~」
「あ、そうだねはぐれちゃうね敦君。征十郎君も」
「オレはいいです」
「危ないよお」
「オレには家のナビが付いてるんで、何かあれば飛んできますよ」「
「そうなの?」
「はい」
征十郎君ちってやっぱすごいなあ。
普通じゃない。
敦君はご機嫌であたしの手を握ってくる。
「暗いね~」
「そうだね」
「ひゃっ」
「どうしたの?」
「なんかいるし」
ガサガサ、ごそごそという音がする。
もしかして……?
「お坊ちゃま!!」
「……執事!」
「赤ちんちの執事じゃん、なんだあ~」
そこには礼服を着た紳士がたっていた。
ぜえぜえと息を切らしている。
「今日は祭りだと言っただろう?」
「いえ、それは聞いていましたが、至急帰られるようにと」
「なにかあったのか?」
「親戚の訪問が……」
「……そうか、わかった。さん、オレは先に帰ります。敦、よろしくな」
「わかったし」
「はあい」
名残惜しそうに去っていく征十郎君をあとにして、あたしたちは神社に到着した。
敦君は妙に使命感を燃やして周りをじっと監視していた。小さなナイトだね。
「さっきはお化けかと思った」
「お化けなんて怖くないし」
「強いね」
「うんっ、おね~ちゃんを守ってあげるしっ」
「ありがとう、頼もしいよ」
「えへ~」
かわいい笑顔で敦君は笑う。
「あー」
そして、大きな花火があたしたちを照らす。
バン、バンという音とともにあたしたちは口を開けて空を見上げた。
「きれいだね~」
「本当」
「来てよかったし」
「そう言ってもらえてよかった」
「来年も来ようね?」
「……うん」
多分、ね。
中学生ってどういう生活かわかんないけど、敦君たちとは会いたいな、
敦君は出会ってからまた身長が伸びた。
それは征十郎君もで。
あたしはそろそろ止まったけど、人間は成長し続けるものだから、未来なんてわからない。
だけど、あたしはふたりが笑顔でいることをただ祈る。
「ずっと一緒に入れるといいね」
あたしは七夕のように、花火に祈った。