第3章 東峰 旭 (お誕生日おめでとう記念)
貴「あ~ちょっと、すっきりした」
東「俺は胃が痛い」
貴「ま、せっかくドレスアップしたし、最上階のラウンジ行こう。」
東「俺未成年なんだけど」
貴「見えないから大丈夫」
かなりのハイペースでカクテルを飲むつばさ
東「飲みすぎじゃないの?!部屋戻るよ」
半強制的に部屋に連れ戻してから彼女は無口だった。
そしてベランダに出た。
東「その恰好じゃ風邪ひくよ」
その時彼女の肩が震えているのがわかった。
つばさの涙を見るのはこれが二度目だ。きれいな泣き顔だと思った。そしてこんな顔をさせた奴に今更ながらに腹が立った。
貴「あんなロクでもない奴だったけど、ほんとに好きだったんだ」
彼女は声を殺して泣いた。
俺は自分のジャケットを脱いで、彼女の肩にかけた。
東「俺ならつばさのこと泣かせることはしないのに」
貴「ありがとう、慰めてくれて」
貴「・・・いつの間にこんなに大きくなったんだろう」
彼女は俺の手と自分の手を重ねた。俺の心臓の音が彼女に聞こえたらどうしようかとあわてる。
貴「中身はまだまだだけどね、でもバレーしてる旭はかっこいいから好きだよ」
俺は彼女を癒せるだろうか。それともやっぱり手のかかる弟なんだろうか。
頭の中で答えの出ない問いがぐるぐると回り、俺はポケットに入れた鍵をぎゅっと握りしめた。
そして俺は鍵の意味を問うべきか迷った。弟として?それとも男として?これからの始まりはすべて俺次第・・・。
END
→あとがき