第15章 complex (及川 徹)☆
入学して間もない昼休み、部活の勧誘がそこかしこで行われていた。よくもまぁ、こんなにも元気が出るもんだ。もともと、やりたいこともないので、勧誘を片っ端から断っていく。
はぁ、疲れた。とにかく早いところ一人になれる場所に行きたい。
私は特別教室が並ぶ特別棟へと歩みを進める。
正面廊下の突き当たりに非常口が見えた。私はそのドアノブに手をかけ扉を開ける。辺りを見回すと誰もいない。
身体を滑り込ますようにして非常階段へと出る。私は意外に広い階段に座りぼんやりと時を過ごす。校庭の桜の木がよく見えキレイだ。ようやく一息つける。
ダテ眼鏡を外し目をつむった。どれくらいそうしていただろうか。ウトウトしかけたとき、キィと扉が開く音がした。私は扉に目を向けた。