第2章 幼少期
目が覚めると私を見つめる三つの顔。
一人は綺麗な女性の顔。
一人は少し年配の男性の顔。
一人は五歳ほどの男の子の顔。
わお!皆さん美形!
じゃなくて!
なにこれ?
何の羞恥プレイですか!?目ぇ覚めたら美形三人組に見られてるなんて......!
「あー......う?(見ないでくだ......あれ?)」
私の腕を伸ばしたはずなのに見えたのはパンみたいなもっちりした腕。
しかもさっき発した声は赤ちゃんそのもので......。
「あらあら、うふふ
初めて見る自分の腕にビックリしているのかしら?」
さっきの綺麗な人がこれまた綺麗に笑って私の腕をつつく。
「ははは
そうだな、何とも愛らしい子だ」
「手、ちっちゃい......」
今度は私の頭を男性が優しく撫でる。その次に男の子が私の握ったまんまの手を包み込むように掴んで見ていた。
えー......と、話の流れからすると私が赤ちゃんになっているのかな?
いやいやいや、意味がわかりません。
私死んだ覚えないんですけど!?普通に登校してましたけど!?
「そうだわイタチ、抱っこしてみる?」
「え、いいの?」
私が悶々と考えているといきなり体が浮いた感覚がした。
どうやら女の人が私を男の子に渡したらしい。ていうか女の人に抱っこされてたんですね、私。
「わあ......!可愛い......」
満面の笑みでほっぺをつついてくる男の子。
地味に痛い。
すると、男の子は急につつくのをやめて真剣な眼差しで見つめてきた。
「......君は俺が絶対に守ってあげるから」
ボソッと呟いた男の子の声は私以外に届くことなく空中に溶けて行った。