第2章 年上彼氏と帰り道
「うー…寒っっ」
凍えるような寒さの中、私達は帰路を歩く。
「マフラー忘れてくるからだよ」
そう言って拓也は自分のマフラーで私の顔をグルグル巻きにした。
「うっぷ…巻きすぎ!!」
「アハハッ、ごめんごめん!」
スーツ姿に似つかない可愛らしい笑顔。
5つも年上とは思えない愛らしさに私はいつもメロメロになる。
私は少し膨れながらも感謝の言葉を言った。
「今日はわざわざありがとね。仕事帰りに迎えに来てもらっちゃって…」
「全然!俺が会いたかっただけだから」
「でも恥ずかしかったでしょ?うち女子高だし…」
「そ、それは…まぁ…」
拓也は何かを思い出したように歯切れの悪い返事をした。
普段は男子なんていない女子高にスーツの大人が、それもイケメンがいればそりゃちょっとした騒ぎにはなる。
まぁ彼女としては悪い気はしないんだけど、ね。
何か考えるようにしてしばらく黙っていた拓也は
「次からは校門じゃなくて、ちょっと離れたバス停で待つ!」
と決意表明のように言い放った。
さりげなく「次」と言ってくれるのが嬉しくて私の顔はにやけてしまう。
「ん?」
少し首をかしげてこっちを見るあなたはやっぱり可愛くて、私のにやにやはおさまることを知らない。
「なーんでもないよー」
「嘘だ!絶対何かある!ほら言え!」
「なんでもないってばー」
少しだけ雪の降る帰り道、私たちの賑やかな声が辺りに響いた。
年上彼氏と帰り道ーfin.