第13章 【影】
影side
* * * *
(…時間、ね…)
足元から始まった、消失、は。
すでに、下半身、腰の辺りにまできていた。
ワタシの隣で、涙を流しながら眠っている、ジャーファル。
シェリルの、最愛の人。
彼女は、幸せになるはずだったのに…。
腹まで、消失は迫ってきた。
ワタシは覚悟を決め、自分の胸の中に手を入れる。
そして、青いルフ、彼女を、出した。
――――――影…っ?
「自分の気持ちは…」
こんな、悲劇を、神が望んでいるというのならば…。
「自身の口で、伝えなくては…」
…それを、打ち砕く。
影に戻ったワタシは、青いルフとなってしまった、彼女にキスをした。
(ワタシが消える代わりに、愛する人との時間を…)
穏やかな気持ちのまま、ワタシは消えた。