第34章 愛してる…
女の子:「なんか今日、ちょっといつもと違くない?」
女の子:「ね~?なんだろね~?」
ステージ中央から少し逸れてるけど、よく見える席にいる私達の前を何度も彼が通りすぎて、あきらが大興奮した前半。
今からソロが始まるらしく、ステージではそんな話をしていて、みんな着席してるから、後ろの女の子達が言ってる言葉が耳に入った。
いつもと違うとか分かるってファンってスゴいなぁ…愛されてるなぁ…
大人な感じの曲や可愛い感じの曲が終わって、ステージに太輔が出て来た。タキシードを着ている。
太:「今日は、オレの大事なみんなに聞いてもらいたい事があります…」
太:「みんななら分かってくれると信じて、隠したくないので、ここで言います…」
太:「…オレ、結婚したい人がいます…」
突然の事に、場内は色んな声で埋め尽くされた。
ステージに立つ彼は遠いけど、こっちを見てるのが分かる…
太:「ごめん!みんな聞いて!」
ざわつく会場に彼の声が響いた。
太:「みんなに特別に想う人が居るようにオレにも想う人が居ます…」
ステージでゆっくり、私とあきらが居る方へ歩いて、
太:「…こんな遠くからごめんね。淳子さん、オレと…結婚してください…」
頭を下げた彼に一気に静まり返る場内。
頭を上げた彼が
太:「絶対、幸せにします!」
そう言って、歌い始めた。
太:「~♪テレビの灯りが~♪」
彼の優しい歌声と、手を重ねようと言う歌詞に溢れる涙が止まらなくて、でも彼から目を離せなくて…
歌い終わった彼がステージの真ん中で深くお辞儀をすると、拍手とともに、おめでとうと叫ぶ声が聞こえた。
他のメンバーも出てきて、全員でお辞儀すると「ありがとう!」と口々に言いながら、歌い始めた。