第6章 タイミング
「大漁だね~…」
金魚が泳いでる袋を
笑いながら見つめてる大野さん
『大漁って…金魚ですよ?』
「ふふっ…そうだった」
やっぱりキュンとする。
「あ!ちょっとここで待ってて!」
『…え?』
手が簡単に離れてしまったことに
寂しくなって、悲しい声を出してしまった。
そしたら大野さんがあたしの方を見て
“すぐ戻るから”なんて
またキュンとさせる。
『…はい』
そう言うと大野さんは人混みの中に
消えていってしまった。
このまま、帰ってこなかったら。
どうしようなんて考えた。
〈5等はイチゴ飴だよ~…〉
『イチゴ飴?』