第2章 被害者は加害者に?
『はぁ~…ごめんなさい。
なんか好き勝手に泣いて…
しかも下駄まで…本当に…』
下駄を履き直してあたしは
大野さんにペコペコした。
「ふふっ…いいよ
なんか、新しい趣味もできそうだし」
『そう…ですか…?』
「うん。
あ、ちょっと待ってね?」
そう言って大野さんは誰かからの
電話に出始めた。
でも、考えたら大野さんって
隠そうとも芸能人で…
そのくせ…全然ぽくないっていうか。
でも、時々見せる笑顔には
胸がキューっと苦しくなって…
『不思議な人…』
なんて、夕焼けに照らされて
電話してる大野さんに呟いた。
「うん。…んあ?翔ちゃんが?
…ん~…眠たいんだけ……」
途中で電話を切られたらしく
ちょっとスマホを睨んでる大野さん
それすら笑えて、あたしはもう
彼から目が離せないでいた。