第21章 はじめての嘘*智*side
ちゃんに嘘をついた。
仕事なんか夜なのに、
えりと会ってるなんて言えなくて
俺の前には3年前まで愛してた
女が顔にアザをつくって座ってる。
あんなに真っ白な肌が・・
「俺、許してねぇの…」
えり「・・うん。わかってる。」
知らない男とどこかへ行った
3年前の事実は変わらない。
「お前が俺を捨てたのも
変わらねぇの・・」
えり「うん。・・ごめん」
「でも・・何があったの?」
ちゃん、ごめんね。
オイラ、馬鹿だから・・
でも、絶対戻るから・・待ってて…
さっきみたいに“待ってる”
そう言ってくれない?
えり「あたし・・
一回、流産してんの」
その言葉は3年前の俺なら
抱えきれない現実で、
彼女の潤む目を放っておけなかった。