第2章 被害者は加害者に?
キャップを被ってるけど、
よく分かってしまって上手く話せない。
だって…国民的…ねぇ?
国民的アイドルじゃん!!
『そ…その…下駄…』
しかも、すごい見つめられてるし…
ちょっと胸の鼓動がハンパないっ!
「あ~っ!お姉さんか~っ!
痛かったんだよ、これ~…」
そう言って自分の頭を撫でながら
あたしを叱る大野さん
『あ…その…すいません…
本当に…すいません!!』
やっぱりジャニーズって
こういうのほっとかないタイプだよね。
慰謝料…とか?
どうしよ…
あたしは頭の中で通帳を覗いていた。
「まぁ、全然良いんだけどね?
ふふんっ……それより、これ…」
また、ふにゃっと笑って
あたしに下駄の鼻緒の部分を見せる。
『あ、ちぎれてる。』
「…でしょ?
直したげるから、そこ座ってな?」
顎で大野さんが示したのは
魚を入れるクーラーボックス
『……はい』