第1章 無機的プロローグ
薄暗い機会仕掛けの中に、1人の青年がそこに立っていた。
部屋と呼ぶにはあまりにも広い空間で、自分が何処にいるのかを認識するだけで精一杯だった。
「いい加減目覚めたらどうだ、ナルミ。」
青年は誰か1人に言うわけでもなく、ただこの空間に存在しているヒトに告げた。
フッと目の前に少女の姿が映った。
「…どうして私を生き返らせたの…?何が目的なんですか!?」
ナルミと呼ばれる少女は身体をノイズに揺らしながら、目を見開いて青年に訴えた。
「まあそう怒るなよ。お前は俺の計画にかーなり必要な人質だ。喜べよ。お前1回死んでんのに、生き返ったんだぜ?大人しく俺に感謝でもしとくんだな。」
青年は顔色一つ変えずにナルミに答える。
その言葉にさらに怒りを覚えたのか、ナルミのノイズは激しく鳴り始めた。
どうやらそのノイズはナルミが興奮すると悪化するようだ。
「…計画って?」
ナルミは一度落ち着いて青年に問う。
すると青年は不敵な笑みを浮かべながらこう言った。
「世界征服」