第13章 どんな子が好き?
「そうだ。これ…食べますか?」
ミルクティーを飲んでるとき、彼が、私が朝渡したクッキーの包みを出す。
「お昼に1枚食べたんですけど、もったいなくてもう1枚は取っておいたんです。美味しかったから」
彼がニッコリと笑う。
「んー…特に美味しくはないけど、せっかく綺麗に焼けた貴重な1枚だから雅樹くん食べてよ」
「じゃあ半分こしましょうか」
彼がクッキーを取り出して割ろうとする。
「わぁあ待って! ダメでしょ、割っちゃ! ハートだよ、ハート!」
焦って止める私を見て、彼は声を出して笑う。
「ふふっ、そんなこと気にするんですか? 可愛らしいですね、優子さん」
あー…またバカだと思われた…。
私はなんかすごく恥ずかしくなって、ミルクティーの缶を握ってうつむく。
「じゃあ、割らないで半分こしましょう」
そう言って、かれはそのクッキーをかじる。
そして残りを、うつむいてる私の唇の前に差し出す。
「はい、あーん」
雅樹くんが半分かじったクッキー。
ううん、半分よりちょっと多めに私のために残してくれてる。
私はパクッと、それを口の中に入れる。
「美味しい…」
そうつぶやいた私に、彼は満足そうに微笑む。
「ね、美味しいでしょ?」
昨日、味見したときより全然美味しい。
クッキーって1日経ったほうが美味しくなるのかな?
うーん、でもやっぱり…
私は彼の顔をちょっと見上げる。
目があうと、彼がニコッと笑顔になる。
雅樹くんと半分こしたから、雅樹くんと一緒だから美味しいのかな。
「ふふっ」
私は思わず、声に出して笑う。
「どうして笑ったの?」
彼が尋ねる。
「雅樹くんが笑ったからだよ」
「え? 僕、笑いましたか?」
「うん、ふふ。ねぇ、雅樹くん」
「うん?」
「楽しいね」
「そうですね、ふふ」
…
私が好きな男の子のタイプは、雅樹くんみたいな人。