第11章 学校で…
彼が扉に向かう。
カギかけたらいいの?
ていうか、カギかけて何するの?
いいの? こんなとこで?
頭の中を整理しようと思うけど上手く出来ない。
バタバタバタ…
ん? 廊下を走る音…
こっちに…向かってる?
トントントン…
「失礼しまーす」
ガチャ
部室の扉が開く。
一年生らしき女の子が2人、勢いよく入ってくる。
えっ
思わず固まる。
彼も…相当ビックリしてる。
「すみませーん、携帯忘れちゃって…。村上先輩、見かけなかったですか?」
1人の子がキョロキョロしながら、雅樹くんに尋ねる。
「へ? 携帯? スマホ? いや…見なかったけど…」
雅樹くん、声うわずってる。
「村上先輩の彼女さんですかぁ?」
もう1人の子が私に問いかける。
「あ、うん、そう。こんにちは…いや、こんばんは?」
何言ってるんだろ、私は。
「あ! あった! ていうかポケットに入ってた!」
携帯を探してた子がポケットからスマホを取り出す。
「バカだねぇ、あんたは。じゃ帰ろうかー」
扉から出ていくとき、1人の子が雅樹くんにコソコソ何かを話す。
雅樹くんが真っ赤になる。
「すみません、失礼しましたぁー」
きゃっきゃしながら2人は去っていった。
「…? 何か言われた?」
私は雅樹くんに尋ねてみる。
彼は真っ赤なまま気まずそうに答える。
「えと…。窓から丸見えだから電気消したほうがいいですよ…って」
「……!」
「帰りましょうか…」
「うん…」
私たちは2人で、暗くなった帰り道を帰った。