第10章 誘惑
「はぁ…やれやれ…」
彼が私の身体を拭いてくれた。
そして腕枕して抱っこしてくれる。
「脱いだら駄目ですね。僕はもう脱ぎません」
彼が宣言する。
私のせいなわけ? 納得出来ない。
「でも雅樹くん…。気持ちよかった?」
私は彼の顔を見上げる。
「もちろんそれは…気持ちよかった…です…」
彼が目を合わせないで途切れ途切れに答える。
「うれしい。私、雅樹くんと一緒に気持ちよくなってみたかったんだ…」
彼の背中を軽くぎゅっとする。
「先にパンツ履きます!」
「きゃっ」
彼が急に身体を起こす。
私の頭が彼の腕から落ちて転がった。