第3章 変わる
家まで彼が送ってくれた。
私は自分の部屋の勉強机に座る。
私も彼を真似して勉強机の棚にプリクラを貼った。
初めて彼と撮ったプリクラ。
付き合い始めたばっかで、彼は生まれて初めてのプリクラって言ってた。
撮るとき、私が急に腕を組んだせいか、彼の顔は少しこわばってる。可愛い。
…
彼とは1年のとき同じクラスだった。
学級委員で真面目で勉強が出来る彼のこと、私は少し気になってた。
でも話す機会もないまま3学期になって…
ある日、お昼の放送で、私が短編小説を朗読した日。
「今日の朗読とても良かったです」
って、彼が話しかけてくれて…
今まで私が朗読した作品も全部覚えててくれて…
すごく嬉しかったんだ。
月に何度か朗読の日はあるけど、正直こんな地味な放送、誰も聞いてないって思ってやってた。
でも彼はちゃんと聞いてくれてた。
それをきっかけに話するようになって…
だけど、すぐクラス替えで離れちゃって…
私が彼に告白した。
そしたら彼は
「僕も田中さんのことがずっと好きだったんです」
って、言ってくれた。
彼は優しいから、そんなふうに言ってくれたんだと思う。
でも、それからずっと仲良くしてくれて、優しくしてくれて…
私はますます彼のこと好きになって…
はぁ…。
私、自分勝手だよね。
私が彼のこと好き好きって追いかけて、キスもしてくれないってふてくされてたクセに、ちょっと彼がそういうとこ見せたらヤダなんて…。
うん。
どうせ結婚したらするんだし…。
覚悟を決めようっ!