第19章 夏
夜、目が覚めた。
裸のままで眠ってた。
隣には裸のままの彼。
少し身体を起こして、彼の寝顔をのぞく。
……。
悲しいわけでもないのに涙が込み上げてくる。
特にうれしいってわけでもないし。
いや、うれしいのかな。
うれしいのかも。
私はそっと彼の胸に頭を乗せてみる。
耳を澄ませる。
心臓の音が聞こえる。
生きてる。
彼の身体がもぞもぞ動く。
「ん…優子さん…起きたの?」
彼が胸の上の私の頭を手で探りながら尋ねる。
「うん。今、目が覚めた」
「眠れないなら…しようか」
そう言って、彼は私のお尻をなでなでする。
「ふふっ…。ううん、いい。大丈夫」
「大丈夫なんだ。ふふ…ふふ…」
楽しそうに彼が笑う。
私も楽しい。
彼が私の身体をよいしょっと上にずり上げる。
顔がよく見える。
「私、雅樹くんのこと好き」
「うん、僕も」
私たちはチュッって口づけする。
「明日もしよ」
彼の耳にささやく。
「今でもいいよ」
彼が下から、私の頭を引き寄せる。
「したいの?」
私は彼の腕にゴロッと転がる。
「したいよ。僕は。いつでも」
私はぎゅーって彼の胸に抱きついた。
…