第16章 間違い
春休みの終わり頃、デートの約束。
今日はいつものショッピングモールでブラブラする予定。
いつも通り、時間ピッタリに到着。
「お待たせ! いつもごめんね!」
って言う準備して周りを見渡す。
あれっ? いない?
めずらしい。
ふふっ、でもなんか新鮮。
雅樹くんが待ち合わせに遅れてくるなんて。
走ってくるかな。言い訳するかな。
想像するとちょっと楽しい。
ふふっ…
5分ぐらい経ったかな?
あれ? まだ1分か。
春休み中、たまに電話とLINEで春期講習の様子を聞いたけど、勉強大変みたいだった。
LINEしながら寝落ちしちゃうこともあったし…。
もしかして、まだ寝てるのかな?
電話で起こしたほうがいいかな?
私はスマホを見てみる。
…まだ5分しか経ってない。
催促するにはまだ早いか。
待つのって思ったより大変なんだなぁ。
…
やっと10分経ったので催促してみることにする。
とりあえずLINEでジャブ。
「おーい」
メッセを飛ばす。
……。
プルル…
着信。電話。雅樹くん。
「もしもし」
『ごめんなさい…』
ぷっ、声が寝てる。
「寝てた?」
『寝てました…。なぜ、まだ寝てるんでしょう? さっぱりわからないです。ごめんなさい』
「しょうがないなー」
『どうしよう…。どうしたらいいですか? ダッシュで行っても20分は…いや、30分かかるかも…あぁ…。ごめんなさいごめんなさい』
「じゃあ私そっち行っていい?」
『えっ』
「じっと待ってるよりは動いてるほうがマシ。雅樹くん、まだパジャマなんじゃない? ゆっくり着替えて待ってて」
『ごめんなさい…本当にごめんなさい…』