第15章 2回目の観覧車
その後、ずっと無言だった。
気まずいけど、何を話せばいいかわからないし、何も思いつかなくて。
観覧車を降りるとき、彼が私の手をとってくれた。
ドキッとした。
「ありがとう」
「うん」
会話出来た。
私たちはそのまま手を繋いで歩いた。
「もうそろそろ閉園時間かな…。ゲートまで10分くらいかかるから、もう向かいましょうか」
「うん」
彼が言う。
私は頷く。
……。
またちょっと沈黙…。
「今度いつ会える?」
私は思い切って尋ねてみる。
彼はちょっと考えて答える。
「春期講習が終わってからですかね…。春休みの終わり頃になってしまいますが」
「うん。そっか。雅樹くん、そんなに頑張らなくても勉強出来るのに…。もしかしてもっと上の大学狙ってる? 上京するとか…」
私は少し不安に思っていたことを聞いてみる。
「いいえ。志望校は変わりません。ただ…」
「ただ…?」
「不安なんです。何かしていないと」
「何か…って勉強?」
「はい」
ふーん…。
わかるような…わからないような…
「安心してください」
「えっ?」
「もう変なことはしません。絶対に」
「……」
変なこと…さっきしたみたいなこと?
なんとなくそのことは聞き返せなかった。