第9章 文化祭~閉幕~
その後も5人で模擬店を回り、少々のアクシデントはあったものの、
楽しい時間というのあっという間に過ぎてしまう。
校内には、文化祭終了のアナウンスが流れている。
生徒たちは、簡単な片付けが残っているためすぐには帰れない。
桜は、緑間、高尾、黄瀬の3人を見送るために校門まで来ていた。
「今日は来てくれてありがとう。楽しかったよ」
「それはこっちのセリフっすよ。それに、桜っちのこと諦めたわけじゃないっすからね」
黄瀬が自信たっぷりに言う。
「はいはい。んじゃ桜ちゃん、またね!」
そう言うと、高尾は黄瀬を引っ張って行ってしまう。
「桜っちー!また遊びに来るっすー!」
「ほら、行くぞ」
黄瀬は、名残惜しそうに手を振っていた。
そんな2人に手を振る桜。
「桜・・・今日は会えてうれしかったのだよ」
2人が遠ざかるのを見届けると、緑間は突然桜を抱きしめた。
「私も・・・うれしかったよ」
驚きつつも、そっと腕を背中に回す。
「午後とか、ちょっとゴタゴタしちゃってごめんね」
「いや、かまわないのだよ。むしろ良いものをみせてもらったのだよ」
からかうように言う緑間。
「もう!恥ずかしかったんだからやめて」
緑間から離れ、頬を膨らませる桜。
そんな桜を愛おしく感じ、再び抱きしめた。
「今度は・・・その・・・2人でどこかに行こう・・・」
照れくさそうに歯切れの悪い緑間。
「・・・うん。楽しみにしてるね」
「行きたいところを考えておいて欲しいのだよ」
そう言ってそっと体を離すと、桜の額にキスを落とした。
2人の距離をちょっとだけ近づけたアクシデントは、また別のお話。
~終わり~