第3章 嵐:櫻井翔
「もお、私、
自販機に行ってくる」
と私が立ち上がれば、
ガタッ、
「僕も喉乾いたから行く〜!」
「あ、俺も行こうかな」
同時に立ち上がる2人。
2人でどうぞ行ってください
「一人で行くからいいよ」
「嫌や、俺は行くねん
けど翔くんは来んでええから」
しっしっ、と
手を振る
「は?ヤスが来なくていいから」
「ほんとに他所でやれ」
モテる要素もない私の周りで
なにやってんだ
そこらの可愛い鈍感少女じゃない
大体はわかる。
「相変わらずモテてますねぇ」
ニヤニヤ現れたのは二宮くん
安田くんと同じクラス
彼こそよくモテるんだよ
「違いますー。
二宮くん、珍しいね。自販機」
「まあね。たまには
ジュース飲みたくなるんですよっと」
買った飲み物を取り出して
その場で飲み始める
「いつも水筒なの?」
「ん?いや。
いつもは…コンビニで
先に買うようにしてるだけ」
「やーかーらーっ、
ちゃんは僕のもんやて!」
「なに言ってるの。
ヤス、おかしいんじゃない」
「ふふ、いっそのこと
私にしてみます?」
にやりと笑う二宮くんの顔は
なんだか、今の状況を
明らかに楽しんでるように見える
「馬鹿じゃないの。戻る」
一人で戻っていると、
ぎゅ、と掴まれる腕。
びっくりして振り向くと
「俺、本気なんですけど」
「・・・え」
二宮くんの本気の顔は、
これから先の修羅場を
想像させて、怖かった。
( 奪い合い ) END
「え、ニノも!?」
「うん。だめ?」
「だめだよ」
「・・・あの」
「あかん!!ちゃん
俺のもんやのにぃー!」
「ヤスのじゃないし」
「・・・(だめだ)」