第12章 関ジャニ∞:錦戸亮
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その言葉に章大が反応する。
きっと昔に章大も、
そういう同じ経験をしたのだろう。
「本気で好きな子をちゃんと
見てなかったんとちゃうんかボケェ!」
「しょ、章大!」
「ほんまに、錦戸先輩の事を
想っとる奴がおるのに気づいてへんやろ!!!」
怒鳴り散らした章大が掴みかかる。
「ほんまに好きで、大好きなのに、
届かない事がどんなに辛いか身に染みて
分かったんなら振り向いてみろ!!!!
お前をずっと見てんのは誰やねん!」
錦戸先輩がゆっくり振り向く。
そして、目が合う私に
またじわじわ涙が溢れ出る。
「せ、先輩、あのっ…!」
いろいろ考えて、
憧れの人なんですって、
それも少し今は違うから
ずっと想ってました、
なんて小っ恥ずかしくて
出てきた言葉はたった一言だけ。
「す、好きなん…です…」
憧れの先輩が。
小さく優しく私に向けて笑った。
( 憧れの先輩が。 ) END