第11章 関ジャニ∞:安田章大
もしも私が、
彼に気持ちを伝えていたら、
私はいったいどうなっていただろう?
彼は離れて行っただろうか。
優しさから、ある程度の距離でいてくれた?
伝えもしきれない想いが、
ずっしりと心にのしかかってくる。
「……おい、聞こえてんのかアホ」
ぱし、と叩かれて
上を向くとカズが不機嫌にこちらを見ていた
「なに黄昏てんの。早く行くよ」
「ど、どこに!」
「・・・」
カズはその聞き返しに何も答えず、
黙って私の手を掴み歩き出した
わけわからず、勝手に動く足に
ストップかけようも、カズがそうはさせない
いったいどうしたんだ
「……お前は、違うかもしれないけど、
俺はずっと待ってた。ずっと、信じてたんだ」
「…カズ、」
「だけど何も変わらなかった。
は、俺のことなんて見てなかった」
振り向いたカズの顔は、
寂しそうな顔をしていて
その意味が、分かった気がして嫌だった。
「……だからこれは、俺なりの抵抗だから」
そう言って引き寄せられ
間近になったカズの顔
恥ずかしくて離れようとした時、
触れたカズの唇。
そうして聞こえたのは章大くんの声
「あーーーーーーーーっ」
「…ふふ」
(ざまあみろ、)口パクで彼に言って
カズは、ごめんなって去って行った。
悔しそうな章大くんが近づいて、
私のことを抱きしめた
「しょ、章大く…!」
「僕は先輩が好き。
和也が好きやとしても、好き!」
叫んだ彼の言葉に、
舞い上がった気持ちと切ない気持ちで
ああ、これが
両想いになることだって思った。
( 近づきたくて伝えた真実 ) END
どんなに傍にいたって、
決して君には届かなかった。
俺だけの想いだけを残して。
「…仕方ないですね」
流れ落ちた涙。