第11章 関ジャニ∞:安田章大
『…初恋かぁ、
なんか昔の事って美化されちゃうよね』
『確かに。どーでも良かったりすることが
何年か経つと美化されて懐かしくなるよね』
人の心の中で、
何かしらの初めてを覗くと
いつだってそこには憧れだったり、
尊敬だったりする人がいたりするわけで
私の初恋は、
「私なんて忘れちゃったよ」
『なにそれ~(笑)』
『最悪すぎでしょ!』
本当は、少しだけ覚えてる。
お母さんが友達の子どもを預かったの、と
家に連れてきた男の子。
愛想が良くて人当たり良くて、
すごく優しい人だった。
よく笑う人で、私にひっつき回ってて
お母さんによく『付き合っちゃいなさいよ』
なんて、からかわれてたっけ。
今じゃ家政婦やってる。
『そう言えば、
あんた主人が変わるんですって?』
「もう知ってるの?早い…。」
『知ってるも何も、有名よ!
なんたってご主人様がいらしてるもの!』
そう言って指した方には、
旦那様と談笑する、
なんだか見たことある男性。
『旦那様が談笑だなんて。
珍しく気が合うお客様なのねぇ』
そう言って家政婦長は去って行った。
『頑張りなさいよ』
ぽん、と同期の家政婦に
背中を叩かれた。
頑張るも何も、
ご主人様って誰なのよ…