第11章 関ジャニ∞:安田章大
それなら、なんで…!
そんなこと、言おうとして
言う前にやめて口を閉じた
彼に言ったところで、
私と章ちゃんの関係は何も変わらないから。
「ヤスはさ、少しアホなとこあって
変なとこでカンが鈍くなんねん
今やって、ほんまは寂しいって、
なんで怒られたんやろ、って。
きっと、いっぱい考えてるはずやねん」
なんで気づかへんのやろなぁ~、
大倉くんが笑いながら言った。
彼は章ちゃんのことをよく見ているんだなぁ
「まあ、いっちょ前に妬くし、
モタモタしてるとヤスが飛んでくるで」
おお、と私の後ろを見る大倉くん。
振り返ると、視線の先には
章ちゃんが怒った顔でこちらに
走って来ていた。
そして逃げ出す間もなく、
章ちゃんが私の腕をつかんだ。
「…なんで」
小さい声で、そう言う。
俯き、彼の顔はよく見えない。
「…僕じゃ、足りひん?
僕じゃ、ちゃんは満足せえへんの?」
章ちゃんが、
さみしそうな目で、私を見ていたから。
だから、私は、
「…っ、」
勝手に溢れた涙を、
袖で必死に拭うしか出来なくて。