第6章 嵐:松本潤
『まあ、お見合いと言っても
お互いに仲を深めるキッカケに過ぎん
将来の安定も兼ねて軽い気持ちで
話してみたらいいだけだからな』
お父さんはそう言い、
また綺麗なスーツに身を包み
仕事へ出掛けていった。
軽い気持ち、ね。
そして翌日、
お見合いは週末の日曜日。
お昼に行うと言われた
着物とか着せられるんだろうな…
「…い、おい!!」
「うわっ。」
「さっきから呼んでんのに、
なにボーッとしてんだよ。大丈夫か」
なんで松本くんがここに!?
そうだそうだ。
今はお昼休みだから、
ご飯食べようってなったんだ
「松本くん、あのねっ…」
「ん?なんだよ」
「…別れ、よう?」
ああああっ。
仮のくせにイキがってごめんなさい!!
「……なんでだよ、理由」
「…まあ色々です」
松本くんは唇を噛んだ。
私も余裕のフリして
実は手が震えてる
涙も出そう。
まだ涙腺緩められないんだ
「お前さあ…」
松本くんが何か言いかけた時、
廊下から先生が
私の名前を呼んだ
「…ごめんね、」
逃げるようにして弁当を片付け
先生の元へ走った。
「………マジなのに…」
額に手を当て、
俯き呟いた言葉も聞こえずに。