第6章 嵐:松本潤
「どうして泣いてるの?」
「泣いてねえよ、気のせいだろ」
乾いた笑い声に、
呆れる。
「…半年なんだってよ、
あんなに頑張って半年しか…っ」
半年、なんて
あっという間だ。
半年のうちの8割は
たぶん病状の悪化で動けない
外に出られんのは2割。
「なあ、」
「…なに?」
「オレが、居なくなっても
例え気持ちを知っても
未練なんか、残すんじゃねーよ」
「じゅ、くん…っ、?」
「好きだ、」
失恋だっていい。
嘘の愛だっていいんだ。
死ぬ間際の半年、
どうかそれまで
お前の好きな奴が
俺じゃダメかな。
葬儀のとき、泣けなくたっていい
期間限定でいいから。
その時だけ、俺を
愛してはくれないか。
( 失恋だって ) END