第2章 嵐:大野智
隣に居ることは当たり前になっていて、
楽しく笑える仲だった。
意味もなく笑い合って、
ふざけたり恋人紛いなことしたり
でもそれは、
俗に言う"友達以上恋人未満"という、
そんな関係だったんだ。
「大野くんって、好きな人とかいないの?」
そんな彼女から突然の言葉。
顔を見ると、
優しく笑う彼女。
「…いるよ」
視線をチラリと逸して、
また彼女へ戻すと彼女は少し悲しそうだった
「そっかあ」
分かってるよ、
期待させてることなんて。
先延ばしにしてることも分かってるよ。
けれど、告白なんて出来っこない。
怖くて勇気が出ないんだ
「は?」
「いるよ、」
何度も繰り返したこの会話を、
あと何度繰り返せば
気持ちが伝えられるだろう?
「帰ろっか」
あと少しでお別れだっていうのにさ。