第2章 プロローグ
今から何年前のことだろうか。
長い長い年月が流れたような気がする、そんな昔のこと・・・
季節は夏、草木は青々としていて、日差しは暖かい。
時折微かに風が吹き、サワサワと心地よい音が耳に触れる。
ここは護廷十三隊が生活する場、〝瀞霊廷”
精霊廷内はとても入り組んでいてまるで迷路のようになっている。
時刻は午前11時
私は束になった書類を持ち、のんびりと道を歩いていた。
目的地は馬酔木の花 五番隊 の隊舎だ。
ようやく目的地が見えてきたとき、後ろから声をかけられた。
「書類持ってくるのにどれだけ時間かけんねん。」
後ろを振り返った私はその声の主が自分の上司だとわかり、声を上げた。
「あなたが取りに行かないからわざわざ行ったんですよ、平子隊長!」
私が書類を手渡しながら悪態をつくと、平子隊長はニヤニヤと笑いながら書類ではなく、私の腕をつかみ自分の元へと引き寄せた。
私はバランスが取れないまま隊長の腕の中にすっぽりと収まってしまう。
「ありがとうな。」
耳元で囁かれた言葉に顔を赤くしていると、隊長は書類をうちわのようにパタパタとさせながら隊舎に向かって歩いていった。
隊長の長い金髪が風になびく様子を私はただただ見つめるばかりだった。