第3章 日常
=雪乃side=
遡ること数時間前・・・
私は結局最後まで東仙隊長のお仕事を手伝い、二人で会場に向かうことになった。
「うわっ、すごい雪・・・」
「今日はやめておくか?」
「ううん、行く!乱菊たちが待ってるし・・・」
「そうか、なら・・・」
東仙隊長の言葉が途切れたと同時にふわっと体が暖かくなった。
「東仙隊長、これ・・・」
「外は吹雪いていて寒い。あまり使っていないものだから後日返してくれればいいよ。」
「そう、ですか。ありがとう。」
東仙隊長が羽織らせてくれたふかふかの黒いコートをしっかりと握り、会場に向かった・・・・
「と、ざっとこんな感じで・・・」
「ここに来た経緯はわかった。けど、一番肝心な所がわかっていないわ。」
「う、うん、乱菊落ち着い「落ち着いてるわよ!」
「あ、はい。」
えっと・・・
「私にとって東仙隊長はなんていうか、頼れるお兄さんみたいな人なの。恋愛感情とかそういうのはないけれど、私には代わりなんて考えられないほど大事な人。」
そう言って、私は精一杯微笑んで見せた。
心の闇を悟られないように。