第3章 日常
それからメンバーも増え、話が盛り上がってきていた。
完全に酔った京楽隊長と浮竹隊長はまた雪乃に好意を抱いてるのは誰それだ。などと話し合っていた。
他の席もさまざまな話で盛り上がりザワザワとしていた。
しかし、京楽隊長と浮竹隊長の話に口をはさんだ恋次のある一言がそのざわつきを一気に静めた。
「でも、確か雪乃って東仙隊長とデキてるんすよね?」
一瞬にして沈黙と化した空気を破ったのは檜佐木だった。
「え、え、でも、俺あの二人が一緒にいるのってあんまり見たことない・・・。」
それに反論するように叫びだしたのは完全に酔っ払い我をなくした弓親だった。
「はぁぁぁ!?何言ってんの!?そっちの隊舎に雪乃を出したら毎回毎回帰りが遅いんだよ!一緒にいるとこを見ない?あんな長居させといてそんなわけないじゃん!用が済んだらさっさと返してよ!!」
「おい、落ち着け。お前だいぶきてるぞ。」
弓親の隣に座る一角が焦ってなだめている。
いつもとは正反対の光景だ。
二人の言い合いから、店内はまたざわつきだした。
すると、お店の扉がガラガラと音を立てて開いた。
「お、遅くなりました!」
外は軽くふぶいていたため、寒い空気と共に店内に少々雪が入り込んだ。
だが、そんなことを気にする者は誰一人いなかった。
なぜなら冷たい風と共に現れたのは先ほどまで話のネタになっていた雪乃と東仙隊長だったからだ。
そして、一緒に来たこと以外にも問題点はもう一つあった。
それは雪乃が身にまとっているコートはあまりにもぶかぶかで、いかにも男性物であることだ。
そうして店内はまた沈黙と化したのであった。