第3章 日常
季節は冬
あれから護廷十三隊は各隊の隊長や副隊長がコロコロと変わり、この頃ようやく安定してきている。
私は朝起きてすぐに十一番隊隊舎にある露天風呂へと足を進めていた。
(こんな朝早くだったら誰もいないでしょう。)
そんな甘い考えを持ちながら・・・
早足で隊舎の廊下を歩いていると、後ろから声をかけられた。
「あれ?雪乃ちゃん?今日はやけに早いね。」
誰かがいるなんて思ってもいなかった私はビクッと肩を揺らし、後ろを振り向いた。
「お、おはよう・・・弓親・・・」
オドオドしている私をみてニヤニヤと笑いながら「おはよう」と言うこの人は、十一番隊の中では現在私と最も仲が良い、
十一番隊 第五席 綾瀬川 弓親 だ。
「どうしたの?こんなに早く。」
弓親は私がお風呂道具を抱えていることを知っていながらこんなことを聞く。
「・・・弓親は?何か用事?」
私がわざと話題をそらそうとすると、弓親は私を追い越して歩いて言った。
そして、急に立ち止まり振り向き言った。
「僕はちょっと朝風呂にね。」
「今なら誰もいないしー」とかブツブツつぶやく弓親。
私が何も反応できずにいると、弓親は急に私の持っていたお風呂道具の中からフェイスタオルをヒョイっと抜き出した。
「一緒に入っちゃう?」
私は顔を赤くしながら自分の頭に手を伸ばす。
「この・・・変態!!」
そして勢いよくかんざしを引き抜き弓親に向かって投げた。
「うわっ!危な!始解してなくてもそれは武器でしょ!!」
「うるさいっ!」
そんなこんなで私と弓親がお風呂場の前でいつものように言い合いをしていると、お風呂場の扉が壊れてしまいそうな勢いで開いた。大きな怒鳴り声と共に・・・
「お前ら!!うっせぇぞ!!」
私たちはサァっと顔を青ざめ、声の主、
十一番隊隊長 更木 剣八を見上げた。
その肩からひょこっと出てきた可愛らしい少女、
十一番隊副隊長 草鹿 やちるがケラケラと笑っている。
「わー!剣ちゃんが怒ったー!」
二人共髪が濡れたままなので、ついさっきまでお風呂に入っていたことがわかる。
そして私はハッっとして声を上げて叫んだ。
「隊長!!!服!服着てくださーい!!」