第3章 名前の無い少女
アレン、リナリー、ラビの3人は、
任務帰りだった。
広い草原の真ん中に
通っている小道を、
その先のクセトという街を
目指して歩いていた。
「今回は外れだったさ~、無駄足さぁ~」
「ふふ、残念だったわね。」
「僕はもうお腹空きました~。
次の街でご飯にしましょう!」
「アレン君てば、
ご飯のことしか頭にないのねw」
賑やかに話しながら、
街に入って行く。
すると、街の様子が
おかしいことに気付いた。
「人がいないわ...
どうしたのかしら」
「通りに服が落ちてるさー。
まさか、これ...!」
「はっ...!?アクマです!!」
アレンの左目が、
アクマに反応した。
アレン達はすぐにアクマの
いる方へ駆け出した。
「アレン君、何体いるの?」
【黒い靴】を発動させて
走っていたリナリーは、
アレンに問いかけた。
「1体だけですが、
まだ誰か襲われているかもしれません!
通りを走っているんじゃ遅い...!
リナリー、ラビ、建物の上を行きましょう!」
アクマの方向を睨むアレン。
足場を利用すると、
3人は一息に屋根の上へ上がった。
そのまま屋根の上を走っていく。
アレンが叫んだ。
「そこの路地にいます!」
アレンの指差した路地を、
ラビは上から見下ろした。
「まっずいさー!女の子が1人、
狙われてるさ!!!!」
その路地には、行き止まりで
アクマに追い詰められている少女がいた。
身をすくめて怯えている様子が分かる。
「助けて、誰か.......!」
微かに、少女の声が届いた。
「発動!!はぁぁぁぁぁ!!!!」
即座に【神ノ道化】を発動させたアレンが、
屋根から飛び降りてアクマへ飛ぶ。
「リナリー、
俺らはあの子ンとこ行くさ!」
ラビが飛び降りた途端、
アクマが爆発して爆風が吹き抜けた。
「うっわー、
派手にやるさー、アレン!」
ラビは一瞬顔をしかめたが、
すぐにこちらを振り向いた少女に笑いかけた。
「危なかったさー、ケガないか?」
「無事で良かったわ」
しかし、少女は警戒したように
綺麗なオレンジの瞳を細めた。
「誰.......??」