第6章 アクマ討伐
ドームの中のリランは
アクマのいた方向に顔を向けていた。
ふと見えた横顔は、
静謐な気配が漂っていて
オレは声をかけるのを一瞬ためらった。
「...リラン?無事か?」
ゆっくり振り返ったリランは
無表情だった。
背筋をぴしっと伸ばしてしまう。
しかし、リランはすぐに微笑んだ。
「無事だよ、ありがと」
その声音もごく普通で、
オレはホッと息をつき
リランに近付いた。
「すげぇな!壁とかも作れんのかー」
リランを覆うドームに手を
触れようとすると、
手はあっさり壁を通り抜けた。
「あれ?どうなってるんさ?これ」
「多分、私の意識で変わるんじゃない?
今はアクマの弾丸を防ぐ壁だから」
手をスカスカしていると、
リランは苦笑して言った。
壁がふわりと空気に溶けるように消える。
「ま、とりあえず無事で良かったさ。
オレ、最悪の想像したもん」
「...ラビってやっぱり
私のこと馬鹿にしてない?」
「やっぱりってなんさ!?」
笑いかけたら、リランはなんだか
不満そうな顔をしていた。
ー やっぱりって...
オレ別にそんな馬鹿にしてねーし.......。
わざとらしく落ち込むと、リランは
慌てたようにオレの顔を覗き込んできた。
「ラビ?ごめんね、忘れて?
心配してくれてありがとう」
綺麗な瞳を不安そうな色に染めて、
オレの顔をうかがっている。
ー リランの瞳はホント綺麗さー...。
つい見入ってしまいそうになり、
慌てて目を逸らした。
「別に怒ってねーもん。
ほら行くさー、アクマはまだまだ
たくさんいるからな」
一気に言ってリランを急かす。