第28章 これから、君と
早く、早く.......!!!
早足で駆け抜ける。
すれ違う人間に驚いた顔をされるけれど、
それも気にならない。
ドアを開けるのももどかしく、
ほとんど蹴り開けた。
「コムイ!!!」
叫べば、コムイは穏やかな笑みを浮かべ、
コーヒーを一口すすった。
呑気な様子に気が急く。
「図書館にいるよ」
足踏みするオレを面白がるように眺めた後、
コムイがそう言った頃には
オレはもう司令室を飛び出していた。
静かな図書館に、無骨な足音が
大きく響く。
でも、利用者がいないのか気配や視線は感じない。
一番奥のカウンターにも、人はいなかった。
回り込み、司書用の部屋をノックもせずに
押し開ける。
窓際で椅子に座って本を読んでいた人影が、
驚く様子もなく立ち上がった。
息をつき、彼女が一歩踏み出した時には
抱き締めていた。
髪に顔を埋め、香りを胸一杯に吸い込む。
「おかえり」
笑みを含んだ声と共に、
細い腕が背中に回された。
思わず涙が出そうになる。
ずっと、この温もりに焦がれていたから。
「おかえり」
同じ言葉を返すと、
背中をポンポン叩かれた。
「ん?」
「ごめ...ラビ.......くるし...」
「あ、ごめん!!」
慌てて力を緩める。
顔を覗くと、リランは顔を真っ赤にして
息を切らしていた。
「う.......」
思わず目を逸らす。
責めるように睨まれたから、
少し恥ずかしくなったのだ。
「ただいま」
膨れっ面のリランが、小さく呟く。
またそれが可愛いから、
腕に閉じ込めた。