第26章 君の行方
あの襲撃から1か月。
リランは、教団側で一応
行方不明として処理された。
捜索は今でも行われているが、
依然として見つかる気配はない。
リナリーはあれから塞ぎ込み、
アレンと神田は狂ったように
任務をこなし続けた。
オレは普段通り...を装って、
リランを探していた。
「今日も手がかり無し、か」
本部へ帰ると、
いつも笑顔で出迎えるリナリーが
いないせいか、暗く感じる。
「やあ、お帰り。どうだった?」
「ただいまさ、コムイ。
イノセンスじゃなかった」
「そうか.......リランの方は、まだ
諦めてないんだろう?」
「..........じゃあ」
視線を逸らし、司令室から出た。
目の前に会いたくなかった人間がいて、
思わずため息を吐きそうになる。
「お主、本業を忘れてはおらんだろうな」
「忘れてねぇって」
「何故そこまでムキになる。
リラン嬢は赤の...」
「他人じゃねぇ!!
じじいが何と言おうと、
あいつだけは離さねぇって決めたんさッ!!」
他人なんて、絶対に言わせない。
睨むオレをいなすように、ブックマンは
片手を上げた。
「そこまで想っておるなら止めはせん。
じゃが...それ以前にブックマンの後継者で
あるということを忘れるなと言うておる」
「分かってる。分かってるんさ...。
オレ、リランいねぇとどうしようもねぇ...」
ブックマンはそれ以上何も言わず、
どこかへ立ち去った。
1人残されたオレは、
額のバンダナを掴んだ。
ぐいっと首まで下げて、顔をあげる。
「どこに...いるんさ、リラン。
死んだなんて、嘘だろ.......?」
限界が近付いていた。
口では生きてると言っても、
心の奥底では諦めている。
でも、それを認めたくない。
だから、きっと探し出す。