第25章 襲撃
「リランが死んだなんて、
そんなこと絶対ねぇ...あいつの嘘だろ?」
そう思いたい。
なのに。
「みん.......な...」
震えている細い声は、
リナリーのものだ。
「リラン、のもの、なの.......」
途切れ途切れに言いながら差し出したのは、
リナリーの手首にもついている
エンジェルリング。
「これだけ、空き地に落ちてて.....」
それ以上言えなくなったリナリーは、
嗚咽を漏らした。
そっと寄り添うアレンに目もくれず、
リナリーの手からブレスレットを取る。
チャリ、と音を立てるチャームは、
ティアドロップと羽根。
― まるで、オレの涙だな。
実感なんてまるで湧かない。
なのに、リランが死んだことは、
事実としてオレの心を蝕んだ。
「守るって.......誓ったのに...ッ」
握りしめたブレスレットが
手のひらに食い込んだ。
頬に流れる雫が雨か涙か、
もうオレには分からなかった。