第23章 この想いをあなたに
~リランサイド~
「リ、リナリー...私...」
「うん、すっごく可愛いわ!」
リナリーがとても嬉しそうに
にっこり微笑んだ。
「ええと.......」
鏡の中の私は、
瞳に合わせて鮮やかな
オレンジ色のワンピースを着せられていた。
足元は、足枷の跡がまだ残っている足首が
隠れる焦げ茶のブーツだ。
リナリーとミランダに飾られて、
これ誰?という感じである。
「大丈夫よ、リランちゃん。
本当に可愛いわ、自信持って!」
「ミランダだって綺麗だよ」
リナリーは白のニット素材のチュニックを着て、
膝丈の【黒い靴】を履いている。
ミランダは黒色の体にぴったりとした
七分丈のTシャツに、
スキニージーンズ。
どちらも本当に似合っている。
「そ、そうかしら.....私、やっぱり恥ずかしいわ...」
「ふふっ、ミランダったら」
「ミランダこそ、大丈夫だよ。
自信持って!」
モジモジするミランダは、とても可愛い。
私はなんだか場違いな気がしてきた。
「私だけこんな明るい服で...浮かない?」
「リランに暗い色は似合わないし、
別に浮かないわよ」
リナリーは比較的何色も似合うけれど、
やっぱり見慣れているから黒だろうか。
ミランダは黒や紫が似合うかなぁ...と思う。
今、私達は街で流行っている
ファッションショーというものの
真似事をして遊んでいた。
暇だから、という理由でである。
「あ...リナリー、ミランダ、ごめん。
私そろそろ行かないと」
時計を見上げ、手を合わせた。
「あ、本当ね。行ってらっしゃい」
「無理しちゃダメよ」
2人に心配げに見送られ、
私は部屋を出た。
今日は、『検査』の日だ。
歌姫について調べるために、
様々な調査が今日から開始される。
ノアに私がさらわれたりして、
なかなか出来ないでいたのだ。