第22章 本当の家族
~リランサイド~
走った。
全力で、肺が焼けそうになるほど。
火の蛇の、その根元を目指して。
走って走って走って、ようやくたどり着いた。
赤い炎に照らされて、
さらに紅く紅く輝く髪を持つ、彼のもとへ。
「ラビッ!!!!!」
ラビが振り返った直後に、
その胸に飛び込んだ。
力一杯しがみついて、
力強い腕に包まれる。
「会いたかったッ...!!」
「無事で良かったさッ.......」
ほんの数日だけだったのに、
とても懐かしく感じた。
しかし、再会を喜ぶのも束の間、
その場にそぐわない冷たい声が響いた。
「リラン。どうしてここにいるの」
「ロード...」
「ティッキーは?何したの?」
動揺はしていないが、
恐ろしく冷ややかな声音だ。
「ティキが」
逃がしてくれた、と言いかけて、
ハッと口をつぐんだ。
― ここで逃がしてくれた、なんて言ったら、
ティキの立場が危ない!
逃がしてくれた恩に報いたいから。
「逃げてきたの。
一番大事なところを蹴ったら、
あっさり離してくれたよ」
「そっか...それは仕方ないね。
可哀想なティッキー......」
とても信じている様子ではないが、
ロードはため息をついた。
「リランを傷付けちゃダメ」
アクマに指示を飛ばす。
Lv3は、まだ4体もいた。
...攻撃しようにも、私は今、
ラビに抱き締められているのだ。
攻撃しようがないだろう。
ラビの腕に力がこもった。
「もう、離さないさ。
リランに守られるなんて、
男として情けなさすぎだからな」