第21章 壊れる
~第三者サイド~
リランがゲートから出た先は、
森の入り口だった。
明るい光に目が眩み...ということはなく、
夜なのか辺りは暗い。
キョロキョロと辺りを見回している
リランの腕を、ロードが引っ張った。
「ほらほらリラン!あっちだよぉ~!」
ロードの指差す方角を見たリランが、
はっとした様子で口を覆う。
「まさか.......?」
なだらかな丘と、暗闇の中で
煌めく光。
リランがもう一度帰りたいと
心密かに焦がれていた故郷が、
目の前に広がっていた。
「リー...おじいちゃ......」
楽しかった日々が脳裏を駆け巡る。
リランの目に、知らず知らず
涙が滲んでいた。
「ただいま...みんな.......」
嗚咽を堪えようと、
顔も覆ったリランをロードとティキは
嬉しそうに見つめていた。
しばらくして、ロードがゲートから
誰かを呼んだ。
「おーい、アクマぁ~?」
「はい、ここに」
現れたのはLv3が5体。
リランが涙に濡れた瞳をあげた。
ティキが背後に回り込み、
後ろ手に拘束する。
「何を.......?」
嫌な予感がしたのか、
リランはティキの手を振りほどこうとした。
「じっとしてろよ、リランちゃん?
全てが終わるのをここで見てろ」
「何をするの?どうしてアク...
まさか...やめて!ロード!?」
喋る途中で一気に青ざめ、
震える声でロードに懇願する。
「やめて!お願い!
この村には手を出さないで!」
「この村、潰して♪」
それでも、ロードは耳を貸さずに
アクマ達に指示を出した。
「やめてッ!ロード!ティキ、やめさせて!
お願いッ!!」
「やめないよ」
「何でッ!?」
「どうせ滅ぼすんだからぁ~、
順番なんて関係ないでしょぉ?」
非情なセリフを、よく笑顔で言い切れるものだ。
ティキですらロードを恐ろしいと思った。