第21章 壊れる
ティキに指し貫かれたギルバートは、
目を溢れそうなほど見開いて
絶叫した。
「ぎゃあああああああああああああ!?」
「ギルバートッ!!!!!」
私は、自分で招いた事態の
後悔で身が焼かれそうだった。
「ギルバートッ.......!
ごめんなさいッ..........!!」
「大丈夫だよ」
ロードに肩を押さえられてもがく私は、
ティキの言葉に動きを止めた。
「はあっはあっはあっ...」
荒い息をつくギルバートは、
確かにどうもなっていないようだ。
「ヒヒッ、ティキのやつもったいぶるね~」
「へっ、さっさと殺りゃいいのによ」
ジャスデビがニヤニヤ笑う。
?マークが飛ぶ私とギルバートに、
楽しそうに説明してくれた。
「ティキのやつは、『万物の選択』って
能力持ってんだよ、ヒッ」
「つまりな、自分が触りてぇものを『選択』
できんだよ。すげえだろ?」
「ヒヒッ、僕達の『実現』の方がすごいけどね!ヒッ」
「おうよ、当たり前じゃねえか!」
さらっと自慢らしきものを入れてくる。
「何で全部言っちゃうのかなぁ~...お前らは。
リランちゃん、もう一度チャンスをあげるよ?
このまま、こいつの心臓抜かれたくなかったら
.......どうするか分かるよね?」
ギルバートは、泣き出しそうな目をした。
私は、彼らの思い通りになる悔しさで、
唇を噛んだ。
「分かった...分かった。
この力は伯爵に貸す。
だから.......」
「そっか~、じゃあ少年達は助けてやるよ」
ブシャッ
目の前が赤いものに覆われた。
「あ.......?」
目を見開く。
ゆっくり倒れていくギルバート。
彼は、驚いた顔のまま.....口から血を噴いた。
そして、床に横たわると、
動かなくなった。
「へ.......え...?」
顔を触る。
ぬるりとした感触に
手を見ると、真っ赤だった。
「あ.......あ.......」
ガクガクと体が震え出す。
ぺたりと座り込んだ私は、
視線をティキへ向けた。
その手に握られている、
赤黒い心臓。
誰のものか、問うまでもなかった。
「い...や...いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁッ!!!!!」
私の絶叫に、
ティキは微笑み、
ロードは目を伏せ、
ジャスデビは煩そうに耳を塞いだ。